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分子内二重鎖形成が不要な新たなRNA検出プローブ

A stem-less probe using spontaneous pairing between Cy3 and quencher for RNA detection

2016.07.10掲載ARTICLEPublished : 2016.07.05 / DOI : 10.1080/14686996.2016.1182412

近年細胞内で多様な機能を持つRNAが数多く報告されており非常に注目されている.このRNAを細胞内で可視化することが出来ればRNAの機能解明やその作用機序について有用な知見が得られると期待される.RNAを可視化する蛍光プローブとしては通常モレキュラービーコンが用いられている.モレキュラービーコンは末端に蛍光色素と消光色素が結合したDNAであり分子内で二重鎖を形成するという特徴がある.しかしながら,標的RNAと二重鎖形成する際に分子内二重鎖が解離する必要があった.

Science and Technology of Advanced MaterialsのNanomedicine Molecular Science特集論文として樫田啓准,浅沼浩之(名古屋大学)が発表した本論文 A stem-less probe using spontaneous pairing between Cy3 and quencher for RNA detectionでは,分子内二重鎖形成が不要な新たなRNA検出プローブについて報告している.著者らは会合能の高い蛍光色素(Cy3)-消光色素(アゾ化合物)ペアをDNAに導入することによって,分子内で二重鎖を形成しなくても蛍光が消光することを見出した(図1左).一方,標的RNA存在下ではこの会合体が解離することによってCy3による強い蛍光が観察された(図1右).その結果,標的RNAの添加時に蛍光強度が180倍増大することが分かった.このプローブは従来のプローブと比較して応答速度が速いという特徴がある.また,このプローブを利用することで固定化した細胞内におけるRNAを検出可能であることも示された.著者らが開発したプローブは高感度RNA検出が可能であることから,病気の早期診断法やウイルス検出といった応用が期待できる.

図1.開発されたRNA検出プローブ

著者Hiromu Kashida, Kazuhiro Morimoto, Hiroyuki Asanuma
本誌リンクhttp://dx.doi.org/10.1080/14686996.2016.1182412
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.17(2016)267.
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