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太陽光から,水を分解して水素を作るー光触媒:可視光が使える酸窒化物系光触媒開発への道

Recent progress in oxynitride photocatalysts for visible-light-driven water splitting

2015.05.26掲載INVITED REVIEWPublished : 2015.05.26 / DOI : 10.1088/1468-6996/16/3/033506

図1:粉末系水分解光触媒の表面で水(H2O)が,水素と酸素に分解される反応のイメージ.Source: Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 15 (2015) p. 033506, Fig.18を元に再描画.

太陽光により水を水素と酸素に分解する光触媒技術は,光のエネルギーを貯蔵可能な化学エネルギーに直接変換できることから,クリーンな再生可能エネルギー供給手段として期待されている.光によりキャリアを励起してエネルギーを取り出すことから,半導体材料が光触媒の有力候補である.物質固有のバンド構造やキャリアの移動度が光触媒特性に大きな影響を与える.高性能な光触媒の設計は,半導体物性のみならず,化学反応をコントロールする触媒としての特性も考慮して行われてきた.光触媒として効率的な水素の製造には,光触媒表面での酸化還元反応の制御も鍵となる.過去数10年あまり,様々な光触媒が開発されたが,現在の注目は太陽光のエネルギーをより高効率で利用できる可視光応答型水分解光触媒の開発である.図1に水分解光触媒のイメージを示す

Science and Technology of Advanced Materials誌に掲載されたレビュー論文で,堂免一成(東京大学)らは,光触媒の原理説明から入り,初期の紫外光に有効な酸化物系光触媒から説明を始め,Ta5+やTi4+などからなる酸窒化物,およびGe4+やGa3+を含む酸窒化物の可視光に有効な光触媒に至る研究展開を紹介している.教科書的でありながら,最新動向にも触れることのできる,この分野の研究動向を反映したレビューとなっている.

太陽光のエネルギーは,可視光線が52%,赤外線が42%と大半であり,紫外線は約5~6%にすぎない.可視光(波長400nmから800nm)を利用できる材料の開発が必要である.著者らは,大規模に水素を製造するために必要な幅広い波長領域の可視光を高効率で利用できる光触媒の開発を目指して研究に取り組んでいる.ここ10年の間に開発した可視光応答型の光触媒では,いずれも利用可能な波長領域は500nmまでであったが,ごく最近では600nmまで利用可能な新しい酸窒化物系光触媒を開発している.(図2参照)

図2:可視光が使える酸窒化物系光触媒の結晶構造 Source: Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 15 (2015) p. 033506, Fig.15 Crystal structure of LaTaON2, LaMg2/3Ta1/3O3, and LaMgxTa1-xO[_]1+3x

さらに,図2のように触媒粒子の表面をTiOOHやTiO2/SiO2でコーティングして発生した酸素の電子による還元(oxygen reduction reaction (ORR))を防止して,太陽光水素変換効率を向上させている.

論文照会先:堂免 一成, 東京大学大学院工学系研究科教授,Email:domen@chemsys.t.u-tokyo.ac.jp,高田 剛,物質・材料研究機構(NIMS)ナノ材料科学環境拠点,Email:TAKATA.Tsuyoshi@nims.go.jp

著者高田 剛, Chengsi Pan, 堂免一成
本誌リンクhttp://dx.doi.org/10.1088/1468-6996/16/3/033506
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.16(2015)033506.
2015.05.26掲載INVITED REVIEWPublished : 2015.05.26 / DOI : 10.1088/1468-6996/16/3/033506注目の論文一覧はこちら