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光機能性有機トランジスタの最新研究動向

2014.04.08掲載ARTICLEPublished : 2014.04.08 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/2/024202

図1 光異性化分子の薄膜をトランジスタのチャネル層として利用した有機トランジスタ.開環-閉環に伴いドレイン電流値が二桁も変わり,しかも不揮発性のメモリ効果を持つ.(ACS Appl. Mater. Interfaces Vol. 5 (2013) p. 3625論文のFig16を変形している)

柔らかな基板の上に印刷プロセスで電子回路や表示素子を作製するフレキシブルエレクトロニクスが新しく立ち上がってきた.その中心的な役割を担うのは有機半導体で作られて有機トランジスタである.これまではトランジスタ本来のスイッチング機能の性能向上に注力されてきたが,その基礎研究が一段落した現在,有機材料ならではの新しい機能性トランジスタの探索が活発になりつつある.

これらを背景にScience and Technology of Advanced Materialsに掲載された若山裕(物質・材料研究機構)らによる本論文:Recent progress in photoactive organic field-effect transistorsは,近年盛んに研究されている光機能性有機トランジスタの最新研究を紹介している.

本論文では光機能性を発光機能と受光機能に分類し,これまでの研究動向を概観している.発光トランジスタでは初期のunipolarトランジスタからより実用性の高いambipolarトランジスタへの変遷や,高効率化を目指したヘテロ多層構造トランジスタを紹介している.受光トランジスタでは光センサーや光電変換機能を目指した光トランジスタ,および不揮発性光メモリ素子を紹介している.中でも光異性化分子を使った光メモリ素子が近年注目を集めている.光異性化反応がメモリ機能を持つことは古くから指摘されてきたが,有機トランジスタの研究が進んできた結果,素子構造の中に光異性化反応を効果的に取り込むことが可能になってきた.その一例を図1に示す.開環-閉環反応を示すジアリールエテン分子を直接トランジスタのチャネル層に適用することによって100:1の電流比を光照射で実現している.

著者Yutaka Wakayama, Ryoma Hayakawa and Hoon-Seok Seo
本誌リンクhttp://doi.org/10.1088/1468-6996/15/2/024202
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.15(2014)024202.
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