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光アイソレータをシリコンフォトニクスへ

2014.01.08掲載REVIEW ARTICLEPublished : 2014.01.07 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/1/014602

短距離通信においても光伝送が利用されるようになってきた昨今,シリコンフォトニクスはその基盤技術として大きな期待を集めている.中でも,非相反素子である光アイソレータは,半導体レーザの高コヒーレント動作や波長変換器などの光能動素子の安定な動作に不可欠であり,伝送ビットレートの増加や波長多重伝送の利用において必須のデバイスである.従来,非相反な光学動作を実現するためには磁性ガーネットの磁気光学効果が利用されてきたが,光アイソレータを含めた多くの光素子を一つのチップ上に集積するシリコンフォトニクスにおいては,磁性ガーネットをシリコンと集積する必要がある.しかしながら,これまで磁性ガーネットはシリコン基板上への集積が困難であり,光アイソレータをシリコンフォトニクスに導入する上での大きな解決すべき課題であった.

本レビュー論文の著者,庄司雄哉,水本哲弥らは,その解決法としてダイレクトボンディングと呼ばれる異種材料間の直接接合技術を検討してきた.本技術によれば光導波路の上部クラッドとして磁性ガーネット層を形成することで光アイソレータが実現でき,導波層を共有した他の光デバイスとの集積化にも適する.最近,著者等は世界初となるシリコン導波路型光アイソレータの動作実証を報告した.それらを踏まえ,本論文では,要素技術であるダイレクトボンディングを用いた磁性ガーネット単結晶とシリコンの集積プロセスや光アイソレータの設計について述べるとともに,最近の成果として高い光アイソレーション比30dBを有する小型光アイソレータや同様の動作原理に基づく光サーキュレータの実現について紹介している.また,他グループにおける別の集積アプローチについてもレビューしている.

導波路型光アイソレータは,シリコンに限らず未だ実用化には至っていない.本論文の光アイソレータにおいても低損失化,動作波長の広帯域化,偏光無依存化など解決すべき課題は山積しているが,導波路型光アイソレータの実用化に向けた先進技術としてその発展が期待される.

著者庄司雄哉,水本哲弥
本誌リンクhttp://doi.org/10.1088/1468-6996/15/1/014602
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.14(2013)014602.
2014.01.08掲載REVIEW ARTICLEPublished : 2014.01.07 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/1/014602注目の論文一覧はこちら