物質材料研究アウトルック
発行者:物質・材料研究機構
発行日:2006年版 2006年11月20日 問い合わせ: 企画調査室
第3部 物質・材料研究における今後の研究動向

第2章 ナノスケールで制御された材料
  3.ナノシート
佐々木高義(ナノスケール物質センター, NIMS)
1 .はじめに

 ナノシートとは厚み方向がナノメートルオーダーであるのに対して、横サイズがその数百倍以上とい う高い異方性を持つ2 次元物質に対して与えられた名称であり、金、白金などの金属、酸化ガリウム、酸化チタンをはじめとした様々な酸化物、硫化モリブデンなどのカルコゲナイドなど、広範な物質系に ついて報告がある。極薄の2次元結晶であるという 特徴に加えて、多くの場合液媒体中に分散したコロイドとして得られること、厚さがナノメートルオーダーであることを反映して量子サイズ効果などのナノ物質独特の物性を示すという特色がある。

 ナノシートはナノスケール物質の中では比較的新顔で、新規ナノシートの探索に研究の重点が置かれており、多くの蓄積があるナノチューブ、ナノ粒子などと比較して、研究としては初期的な段階にあるといえよう。一方その先の展開として、ナノシートの特性解明、機能化、さらにはナノシートをビルディングブロックとして活用して新規ナノ構造材料を構築する研究も盛んになりつつある。そこで本稿では、ナノシートの合成と機能化・応用の2つに分けて最近の国内外の研究動向について概観する。



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