物質材料研究アウトルック
発行者:物質・材料研究機構
発行日:2005年版 2005年11月1日 問い合わせ: 企画調査室
第4部 物質・材料研究の今後の展望

第11章 高分子材料
一ノ瀬 泉 (物質研究所 高分子性酸化物グループ, NIMS)
1) はじめに

 高分子材料は、金属や無機材料と並んで重要な役割を担っている。高分子は、産業の基盤材料としてのプラスチック、ゴムや接着剤、フォトレジストや分離膜、ゲルや生体材料など、その用途が幅広い。また、繊維や梱包用の発砲スチロール、紙などを含めると、今日の複雑かつ多様な産業構造と密接に関連していることが分かる。

 医療分野を除く世界の化学産業の規模は、144兆円と言われており、高分子は、その主要な製品となっている。世界的に有名な高分子関連の企業には、デュポン、ダウケミカル、バイエル、BASFなどがある。

 一人当たりの年間プラスチック消費量は、西欧・米国・日本で90〜100kg(2001年度の統計)に達する。また、インドを含むアジアの消費量(13kg/人,2001年)は、今後も急速に伸びることが予想されており、環境やエネルギー問題との関連も小さくない。

 本章では、2000年以降の高分子材料を取り巻く現状や国内外での研究動向についての概観を試みた。



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