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両極性・水溶性ポリアミドアミン(AGMA1)の細胞培養床への応用

2014.09.09掲載ARTICLEPublished : 2014.09 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/4/045007

図1.Source: Sci. Technol. Adv. Mater. Vol. 15 (2014) p. 045007, Fig. 1

細胞培養床には接着性・両極性・非細胞毒性が必要で,L-リジン(必須アミノ酸のひとつ)やオルニチン(尿素回路を構成するアミノ酸)のポリマーが使われている.この用途には,細胞接着分子としてイン・ビトロ(in vitro)で細胞の接着,成長,移動,分化を促進することが必要である.

これらを背景に,Science and Technology of Advanced Materialsに掲載されたPaolo Ferrutiらによる本論文:A soluble biocompatible guanidine-containing polyamidoamine as promoter of primary brain cell adhesion and in vitro cell culturingは,グアニジン基を有するアミドアミン・ポリマー(AGMA1)への代替について報告している.

AGMA1は,アミドアミン・ポリマーの一種で生体適合性・水溶性・(弱)陽イオン性・非細胞毒性を兼ね備えていて,既存の細胞培養床に使われている前述の物質群と同様の有効性が実際にラットの脳細胞を用いて実証された.図1にAGMA1の化学構造単位を示す.左上のNH2(NH)2がグアニジン基である.

図2は,(A)AGMA1上,(B)L-リジン・ポリマー上,それぞれに星状神経細胞から培養された(primary mixed coculture neurons-astrocytes)組織の典型的な共焦点顕微鏡像である(スケールは25μm).両者とも,単に樹枝状に成長しているだけでなく,シナプスをも形成している.AGMA1上でL-リジン・ポリマー上と遜色のない培養結果が得られている.AGMA1を用いた細胞培養床は,低コストかつ大面積化が可能で,細胞毒性の問題もクリアできていることから,今後に細胞培養に広範に応用されることが期待される.

著者Noemi Tonna, Fabio Bianco, Michela Matteoli, Cinzia Cagnoli, Flavia Antonucci, Amedea Manfredi, Nicolò Mauro, Elisabetta Ranucci and Paolo Ferruti
本誌リンクhttp://doi.org/10.1088/1468-6996/15/4/045007
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.15(2014)045007.
2014.09.09掲載ARTICLEPublished : 2014.09 / DOI : 10.1088/1468-6996/15/4/045007注目の論文一覧はこちら