ようこそSTAM日本語ページへ

日本発 物質材料研究のオープンアクセスジャーナル
Welcome to STAM Japanese website!

注目の論文

バイオインスパイアード材料 ― 次世代フォトニック結晶への道筋

Tunable structural color in organisms and photonic materials for design of bioinspired materials

2012.01.04掲載REVIEW ARTICLEPublished : 2011.12.28 / DOI : 10.1088/1468-6996/12/6/064704

自然界における構造色の例に蝶や孔雀の羽の美しい色があげられます.私たちはそういった羽がある特定の波長の光を強く反射するのを見ている訳です.科学者達は自然の持つ光を制御する機能を低消費電力ディスプレイや光学フィルターの設計に取り込もうとしています.

しかし科学者達はどのように正確に自然を模倣し,そのような応用に結びつけるのでしょう.

物質・材料研究機構,不動寺浩氏は,材料科学者達が自然界にある構造色発現の機構に基づいたフォトニック結晶の開発にいかに挑戦するかを紹介している.

「自然界におけるチューナブル構造色材料」 ネオンテトラとして知られる南アフリカの熱帯魚は日中は緑,夜は紫青色と色を変えることが出来るが,それは物理的機構と屈折率の役割とで説明できる.

「チューナブル構造色材料に対応したバイオインスパイアード材料」 数学的モデル解析で一次元積層構造と三次元コロイド結晶からの光の反射を記述する.その具体例として,ポリマーの積層合成によるブラッグ反射鏡,ブロックコポリマーを用いた赤と緑を選択できる電気化学的チューナブル構造色,ストレス/ストレインを制御して赤から青に変換できるハイドロゲル膜,を紹介.

「3Dコロイド結晶とオパールのチューナブル構造色」 オパールは3Dフォトニック結晶の一例で,その光回折機構は良く理解されている.ここでは単分散ポリスチレン粒子の3Dナノ構造を用いた合成オパールの作成,温度を制御することで可視光全域を選択回折できるpoly(N-isopropylacrylamide)ハイドロゲルにコロイド粒子を埋め込んだ高安定ソフト材料,磁場制御ハイドロゲル光チューニング,に焦点を当てている.

「将来展望」 最後の章はフォトニック結晶設計におけるバイオインスパイアード的アプローチを紹介している.湿度の上昇に伴い青から赤に色を変えるヘラクレスカブトムシのナノ多孔性構造に基づき作成された3Dフォトニック結晶湿度センサー,モルフォ蝶の羽を模倣した高選択性を持つ高性能光ガスセンサーなどの例が示されている.

著者Hiroshi Fudouzi
本誌リンクhttp://doi.org/10.1088/1468-6996/12/6/064704
引用 Sci. Technol. Adv. Mater.12(2011)064704.
2012.01.04掲載REVIEW ARTICLEPublished : 2011.12.28 / DOI : 10.1088/1468-6996/12/6/064704注目の論文一覧はこちら